家づくりの打ち合わせを始めると、
「LDKは何帖くらい必要ですか?」
「収納はどれくらい欲しいですか?」
「平屋ですか、2階建てですか?」
そんな話から始まりそうに思われるかもしれません。
もちろん、どれも大切なことです。
でも私たちは、その前に知りたいことがあります。
「今、どんなふうに暮らしていますか?」
ということです。
朝、家族はどう動いていますか?
例えば、朝。
誰が一番に起きるのか。
朝ごはんをつくりながら、お弁当もつくるのか。
その頃、子どもはどこで着替えているのか。
洗面台では、家族が同じ時間に準備をするのか。
ほんの数十分のことですが、毎日繰り返されます。
だから、例えばダイニングカウンターをつくることにも、
「おしゃれだから」
だけではない理由があります。
朝ごはんを食べる。
お弁当を準備する。
ちょっと書き物をする。
家族それぞれが違う準備をしながらも、同じ場所にいられる。
そんな小さな工夫が、慌ただしい朝を少しだけラクにしてくれることがあります。
「おはよう」が生まれる場所

間取りを考えるとき、
家族がどこで出会うか
ということも考えます。
例えば、2階から子どもが起きてくる。
階段を降りた先にキッチンがあれば、
「おはよう」
という何気ない会話が自然に生まれるかもしれません。
もちろん、毎朝そんな理想的な風景になるとは限りません。
眠そうなまま通り過ぎる日もあるでしょうし、ケンカして口をきかない朝だってあると思います。
それでもいいと思うのです。
大切なのは、
家族が無理をしなくても、自然に気配を感じられること。
間取りには、そんな役割もあると考えています。
光や風にも、理由があります
窓も同じです。
大きな窓をつくれば良い、ということではありません。
朝の光が欲しい場所。
午後の強い日差しを避けたい場所。
外からの視線が気になる場所。
風を通したい場所。
吹き抜けの高い位置から光を入れることで、直接的な日差しではなく、やわらかな明るさをリビングまで届けられることもあります。
窓は外を見るためだけのものではなく、
時間や季節、自然を家の中に届けるもの
でもあります。
一人になれることも、家族のため
家族がつながることを大切にすると、
「いつも一緒にいられる間取り」
を考えているように聞こえるかもしれません。
でも、そうではありません。
一人で本を読みたい。
少し仕事をしたい。
考え事をしたい。
何となく一人になりたい。
そんな時間も、暮らしには必要です。
完全に閉じた個室ではなくても、
ヌックだったり、窓辺だったり、カウンターだったり。
家族の気配を感じながら、自分の居場所を持つこともできます。
一緒にいることと、一人でいられること。
その両方があるから、心地よく一緒に暮らせるのではないかと思います。
「ただいま」と帰ってくる場所

そして、一日の終わり。
玄関を開けて、
「ただいま」
と言う。
誰かが、
「おかえり」
と返す。
特別な出来事ではありません。
家づくりの写真にも、図面にも、見積書にも表れにくいものです。
でも家が完成してから何年、何十年と繰り返されるのは、むしろこうした何気ない時間です。
だから私たちは、
何帖あるか。
どんな設備が付いているか。
どんなデザインなのか。
だけで家を考えたくありません。
間取りの前に、暮らしを想像する。
家づくりに、唯一の正解はありません。
ある家族には便利な動線が、別の家族には必要ないこともあります。
人気の間取りだからといって、その家族にとって暮らしやすいとも限りません。
だから、
「何が欲しいですか?」
だけではなく、
「普段、どうしていますか?」
「それを面倒だと感じることはありますか?」
「家で好きな時間はいつですか?」
「これから、どんなふうに暮らしたいですか?」
そんな話をしながら、一緒に考えていきたいと思っています。
図面を描く前にあるのは、間取りではなく、
そこで暮らす家族の毎日です。
その毎日を想像しながら、動線を考え、居場所をつくり、窓を配置する。
それが、私たちの考える家づくりです。
Houseではなく、Homeをつくる。
感謝・誠実・愛
家は人が住んでから初めて家になります。私たちはその空間を「ホーム」と呼びます。
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